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東浦町女性殺人・死体遺棄事件

事件の概要

2022年4月、愛知県東浦町の畑地で全裸の女性遺体が発見される事件が発生しました。名古屋地検は、無職で住所不定の天池由佳理(38)と山下克己(56)を殺人および死体遺棄の罪で起訴しました。遺体は天池の知人であり、同県稲沢市に住む介護助手・門田典子さん(当時40歳)と判明しました。

本事件の背景には、加害者2人による拉致監禁事件が関係しており、被害者への執拗な金銭要求がエスカレートした結果、命を奪うに至ったとされています。

被害者と被害者遺族の詳細

門田典子さんは稲沢市に住み、介護助手として働いていました。彼女はかつて加害者の天池と知り合いであり、一時的に金銭の貸し借りがあったとされています。しかし、門田さんは事件以前に経済的に困窮しており、加害者の執拗な借金返済の要求に応じられませんでした。

事件発生後、門田さんの家族は彼女の失踪を心配し、警察に捜索願を提出していました。遺族は彼女が突然消息を絶ったことに強い疑念を抱いており、後に遺体が発見された際は深い悲しみに包まれました。

犯人の詳細と生い立ち、犯人遺族の詳細

天池由佳理(主犯)

天池由佳理は岐阜県出身で、幼少期から家庭環境が不安定でした。特別支援学校を卒業後、定職に就くことなく、名古屋市内で援助交際や風俗業に従事していました。過去にも恐喝や監禁などの犯罪歴があり、前科を持っていました。

天池は事件発生前、名古屋市の繁華街で立ちんぼ(売春)を行いながら、車上生活をしていました。その際、買春客として知り合ったのが共犯の山下克己です。

山下克己(共犯者)

山下克己は前科5犯を持つ性犯罪の常習者でした。過去には未成年女性を脅迫し、監禁・強姦した罪で服役していた経験があります。出所後、天池と知り合い、共に犯罪を繰り返すようになりました。

事件発覚と逮捕

事件の発端は、別の女性A子さん(当時23歳)に対する拉致監禁事件でした。A子さんは名古屋市内で拉致され、車内に監禁され、性的暴行を受けるという被害を受けました。その後、大阪の商業施設で隙を見て逃げ出し、警察に助けを求めたことで、天池と山下の行動が明るみに出ました。

警察の捜査が進む中、天池は取り調べで「重要なことがあるんですけど、話を聞いてもらえますか」と自供。門田さんを殺害し、愛知県東浦町の畑地に遺棄したことを明かしました。これを受け、警察は遺体を発見し、正式に殺人および死体遺棄容疑で2人を逮捕しました。

事件のまとめ

2024年3月15日、名古屋地裁の判決により、天池由佳理には懲役16年が言い渡されました。裁判では「知的障害があるものの、合理的な行動を取っており、完全責任能力がある」と認定されました。山下克己の裁判は現在も進行中です。

この事件は、金銭トラブルを発端とした暴力行為がエスカレートし、最終的に命を奪う結果となったことを示しています。また、過去に犯罪歴のある者が再び重大犯罪に手を染めるケースの一例ともなりました。

社会的には、犯罪被害者遺族への支援、犯罪の再発防止、援助交際の危険性について改めて議論が求められる事件となりました。

 

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