事件の概要
2023年3月4日、千葉県柏市で主婦の弥谷麻衣子さん(当時30歳)が行方不明となり、夫で元銀行員の弥谷鷹仁被告(37)が警察に捜索願を提出しました。しかし、実際には鷹仁被告が麻衣子さんを絞殺し、遺体を実家の敷地内に埋めていたことが後に判明しました。
事件には鷹仁被告の母・弥谷恵美被告(64)も関与しており、殺害前から遺体遺棄の準備として敷地内に穴を掘るなど、共犯関係があったとされています。この事件は、家族間での完全犯罪を企てた悪質なものとみなされ、裁判では厳しい求刑が下されました。
被害者と被害者遺族の詳細
被害者の麻衣子さんは、2010年に銀行勤務を通じて鷹仁被告と出会い、約1年半の交際を経て結婚しました。その後、不妊治療を経て2016年秋に長女を出産しましたが、出産のストレスなどから精神的に不安定になり、強迫性障害を発症しました。
麻衣子さんは潔癖症に近い症状を示し、家族にも厳しい衛生管理を求めるようになりました。これにより家庭内の関係が悪化し、鷹仁被告は精神的に追い詰められる状況となっていました。事件後、遺族は「娘をあんな残酷な方法で殺され、土の中に埋められたことは絶対に許せない」と強く非難し、極刑を求めました。
犯人の詳細と生い立ち、犯人遺族の詳細
弥谷鷹仁被告は、元銀行員として働いていましたが、妻との関係悪化や精神的なストレスにより職場での勤務が困難になり、休職を繰り返していました。麻衣子さんの精神的な不安定さに加え、暴力や暴言もあったとされ、鷹仁被告自身もメンタルクリニックに通っていました。
一方、鷹仁被告の母・恵美被告は息子を深く心配し、事件前から遺体を埋める準備を手伝うなど、積極的に関与していました。事件発覚後も、恵美被告は「息子が本当に殺すとは思わなかった」と供述しながらも、裁判では罪の一部を否認しました。
事件発覚と逮捕
事件発生後、鷹仁被告は警察に捜索願を提出し、被害者の家族と共に「尋ね人」のビラを配るなど、計画的に偽装工作を行いました。しかし、警察の捜査により、彼の供述に矛盾が多いことが判明し、さらに実家敷地内の地面に不審な掘削跡が見つかったことで、事件の全容が明らかになりました。
2023年3月下旬、警察は鷹仁被告と母・恵美被告を逮捕しました。鷹仁被告は殺人と死体遺棄の罪を認めましたが、恵美被告は「手助けするつもりはなかった」と殺人幇助を否認しました。
事件のまとめ
この事件は、家庭内の複雑な人間関係と精神的負担が要因となった悲劇的なものでした。麻衣子さんの精神疾患、夫の精神的な追い詰められ方、母親の過剰な支援が重なり、最悪の結末を招いたと考えられます。
裁判では、検察が「家族間の完全犯罪を目論んだ計画的な犯行」として厳しい求刑を行い、鷹仁被告には懲役17年、恵美被告には懲役6年が求刑されました。最終判決は2023年6月12日に下される予定です。
この事件を通じて、精神疾患を抱える家族の支援体制や、家庭内暴力の早期介入の必要性が改めて問われています。