事件の概要
2023年3月4日、千葉県柏市で主婦・弥谷麻衣子さん(当時30歳)が行方不明となり、その後、夫で元銀行員の弥谷鷹仁被告(37歳)が逮捕されました。捜査の結果、麻衣子さんは自宅で絞〇され、遺体は実母・弥谷恵美被告(64歳)と共謀して茨城県取手市の実家敷地内に埋められていたことが判明しました。
鷹仁被告は、殺〇と死体遺棄の罪を認めており、5月31日に千葉地裁で開かれた裁判で検察側は「計画的で用意周到な犯行」として懲役17年を求刑しました。一方で、恵美被告は「殺人幇助(ほうじょ)はしていない」と主張しつつも、死体遺棄の罪は認めています。
本事件は、「エリート銀行員と母親による嫁〇し」と報道され、社会的な関心が高まりました。初公判では多くの傍聴希望者が殺到し、抽選となるほどでした。
被害者と被害者遺族の詳細
被害者である弥谷麻衣子さんは、2010年に銀行勤務時代に鷹仁被告と出会い、約1年半の交際を経て結婚しました。しかし、なかなか子宝に恵まれず、2013年から不妊治療を開始。2016年秋に長女を出産しましたが、流産寸前の状態で帝王切開となり、未熟児だった長女の育児に悩むようになりました。
精神的なストレスが重なり、麻衣子さんは「強迫性障害(極度の潔癖症)」を発症。外出先から帰宅すると何度も手を洗い、家族にも清潔な行動を強要するようになりました。その影響で夫婦関係は悪化し、夫・鷹仁被告や長女への暴言・暴力が日常化。特に長女への扱いがひどく、ベッドに投げつけるなどの行為があったと証言されています。
被害者遺族である麻衣子さんの両親と妹は、裁判に参加し、「極刑を望む」と強く訴えました。「〇害された上に遺体を土に埋めるなど、到底許すことはできない」と怒りを露わにしました。
犯人の詳細と生い立ち、犯人遺族の詳細
弥谷鷹仁被告は、銀行勤務を経てエリート街道を歩んできました。しかし、麻衣子さんの精神疾患によるストレスが積み重なり、不眠症や不安障害を発症。仕事にも支障をきたすようになり、精神科に通院していたことが分かっています。
彼の母・弥谷恵美被告も、息子と孫を心配し、麻衣子さんとの関係について深く関与していました。2023年2月12日、鷹仁被告は恵美被告に「麻衣子さんを〇害する」と打ち明けましたが、母は「冗談だと思っていた」と証言。とはいえ、その後の行動を見ると、彼女が完全に無関係だったとは言い難い部分もあります。
事件発覚と逮捕
事件の発覚は、行方不明となった麻衣子さんの捜索願を夫が自ら提出したことがきっかけでした。しかし、その後の捜査で矛盾点が多く浮かび上がり、警察は夫を重要参考人としてマーク。最終的に、茨城県取手市の実家敷地内から麻衣子さんの遺体が発見され、鷹仁被告と恵美被告が逮捕されました。
特に問題視されたのは、夫が妻の行方不明を偽装するために、麻衣子さんのスマートフォンに電話をかけたり、近隣で捜索ビラを配ったりした点です。こうした行為が「完全〇罪を目論んだもの」とされ、より悪質性が高いと判断されました。
事件のまとめ
本事件は、家庭内トラブルが発端となり、計画的に実行された〇人事件でした。被害者の精神疾患や家庭の事情が関与しているものの、被害者が生命を奪われたことに変わりはありません。
主犯である弥谷鷹仁被告は、裁判で「後悔している」と涙ながらに謝罪しましたが、被害者遺族は「到底許すことはできない」とし、厳罰を求めました。
検察側は「計画的で悪質」として鷹仁被告に懲役17年、恵美被告に懲役6年を求刑。一方、弁護側は「介護疲れによる犯行に近い」として、執行猶予付きの軽い判決を求めています。
判決は2023年6月12日に下される予定です。本事件が私たちに問いかけるのは、家庭内でのストレスや精神疾患が引き起こす悲劇を防ぐために、どのような支援が必要なのかという点です。今後、社会全体でこうした問題にどう向き合うかが問われています。